サービスにインアプリ通話を導入すべき理由
こんにちは。音声およびビデオ通話をサービスから簡単に実装できるソリューション、LINE Planetのプロダクトマネージャーのチョン・ドクボムです。
プロダクトマネージャーをはじめとするサービス関係者は、それぞれが担当するサービスを「我が子のようなサービス」と呼ぶほど、大きな愛情を注いでいます。親が子どもの成長のために支援を惜しまないように、サービスの関係者もサービスの成長のために支援を惜しみません。サービスを活性化させるために新しい機能を追加したり、魅力的なコンテンツを加えたり、ユーザー同士が会って会話できるコミュニティーを作ったりします。
サービスを成長させる最良の方法の一つは、サービスを遊び場や広場のように、ユーザー同士が集まり楽しく交流できる場にすることです。ユーザー間でのコミュニケーションが活発になれば、ユーザーの滞在時間は自然に長くなるからです。
そのため、多くのサービスがユーザーの利用できるさまざまなコミュニケーション手段を用意しています。投稿ができるスペースを作り、他の人の投稿にコメントを残せる機能を追加するほか、同じ興味を持つ人々が集まって会話できるようにメッセンジャーを導入したりもします。
しかし、サービスの特性によっては、これだけでは十分でないと感じることもあります。本稿では、なぜサービスにインアプリ通話を導入すべきなのかについてお話ししたいと思います。
なぜ「通話」なのか?
メッセンジャーは、テキストベースのコミュニケーション手段の中で最も速く効果的な方法です。しかし、テキストベースのコミュニケーションは本質的に非同期的であるという特性から抜け出すのは難しいものです。ユーザーは、相手が今この瞬間自分に完全に集中しているのかを正確に把握することが難しく、自分自身もコミュニケーションしながら即座に応答しないことがあります。
こうした状況は、ユーザーの没入度に差を生じさせ、ユーザー同士あるいはユーザーとサービス提供者との間に細かな亀裂を生み、共に交流できるサービスを築くうえで障害となります。
結局、人は直接音声で会話したり、リアルタイムで視覚的な情報をやり取りしたりすることで、その場により集中し、没入する傾向があります。サービスにおいてそのような没入を実現できる最も代表的な方法の一つが、まさに「音声およびビデオ通話」機能です。
音声およびビデオ通話は、テキストだけでは伝えにくい複雑で繊細な感情のニュアンスを、声や表情を通じてリアルタイムで完全に伝えることができます。このような特性は、テキストベースのコミュニケーションの欠点を補い、ユーザーの没入感を高め、満足度の高いサービス利用体験を提供します。これにより、ユーザーは自然とより長く、より継続的にサービスを利用するようになります。
なぜ「インアプリ」通話なのか?
それでは次に、なぜ「インアプリ」通話でなければならないのかについてお話しします。
個人情報保護、ユーザー離脱防止
サービスの目的によっては、ユーザー同士、あるいはユーザーとサービス提供者との間でリアルタイム通話が必要となる場合があります。このとき、最も懸念されることの一つが、ユーザーの個人情報です。通話にユーザーの携帯電話番号を利用する場合、意図せずに個人情報が他人に共有されてしまうからです。
現代において個人情報の問題は、軽視できるものではありません。グローバルネットワーク技術企業であるCiscoの2020年のレポートによれば、消費者3人に1人(29%)が個人情報侵害を懸念して実際にサービス利用を中止した経験があり、それ以外の大多数(約80%以上)の消費者も個人情報の問題に非常に敏感に反応していることが分かります。
これを解決するために、安心番号のような一時的な電話番号を利用する場合もあります。この方式はユーザーの携帯電話番号を公開しないため一見安全に見えますが、まだ別の観点で問題が残っています。それは、通話するためにユーザーがサービスを離れなければならない点です。サービスを離脱した瞬間、ユーザーはサービスの制御範囲を逸脱し、その後戻ってこない可能性もあります。
しかし、安心番号ではなくインアプリ通話を提供すれば、ユーザーがサービスを離脱しないように留めておくことができます。サービスが提供するすべてのコミュニケーション手段を制御可能な範囲に収めることで、セキュリティはもちろん、サービス利用体験の完結性まで守ることができるのです。
紛争調整はサービスの信頼を築く近道
ユーザーが集まればさまざまな会話が交わされ、ときには避けたい紛争が生じることもあります。紛争が起きた際にそれを賢明に仲裁することは、サービスの信頼度に直結する非常に重要な課題です。テキストベースのサービスでは、通報された投稿やコメント、あるいはやり取りされたメッセージの内容から状況を判断できますが、揮発性の高い音声通話はこれとは異なる方法で対応しなければなりません。
このとき、制御可能なインアプリ通話を利用すれば、サービスの判断によって通話ごとに録音機能を有効化でき、録音を行った場合、その通話記録は紛争調整の過程で重要な資料として活用できます。特に高額な商品が取引される仲介サイトでは、このような機能の重要性が一層高まるでしょう。
さらに、サービス内通話が録音される可能性があることを明示的に知らせるだけでも、ユーザーはより慎重に相手とコミュニケーションを取るようになります。これは紛争発生率自体を下げる効果に繋がり、ユーザーを積極的に保護する姿勢を示すことでサービスの信頼を高めることにも繋がります。
AI、インアプリ通話の新たな可能性
今やAIの時代です。AIをインアプリ通話と組み合わせることで、ユーザーにまったく新しい体験を提供できます。すでにユーザー間のコミュニケーションを提供しているサービスであっても、「AIとの通話」という新鮮な体験はサービスの雰囲気を一新し、ユーザーの関心を再び呼び起こすきっかけとなり得ます。好奇心を刺激し、離脱したユーザーを再び振り返らせるきっかけにもなるでしょう。
また、AIを導入することでカスタマーサポートの方法も革新できます。多くのサービスがチャットボットによる一次対応を行っていますが、現在では音声AIエージェントがその役割を急速に置き換えつつあります。「話す」ことは「テキスト」よりも速く、そして感性的です。実際、グローバルCRM企業であるHubSpotのレポートによれば、消費者の69%がリアルタイム音声サポートはテキストベースの方法より満足度が高いと回答しており、複雑または重要な問題であるほどその傾向が顕著に現れることが示されています。音声AIエージェントは、ユーザーが最も困難に感じる複雑かつ重要な問題に積極的に対応できる、最も効果的な解決策です。
LINE PlanetにおけるAIベースのコミュニケーションを成功裏に導入するために積み重ねている技術スタックや、実際の適用事例にご興味がある方は、Tech-Verse 2025で私が発表した "LINE Planet" and AI: Conversations with AIセッションを参照してください。
新たな収益モデルのチャンス
インアプリ通話機能は、それ自体が新たな収益モデルになり得ます。例えば、ビデオ会議機能にフリーミアム(freemium)モデルを適用し、一定時間を超えて利用する場合に料金を課金したり、専門的な相談が必要な仲介プラットフォームにおいて有料相談チャネルとしてインアプリ通話を提供することができます。
特に専門相談のようなビジネスモデルでは、インアプリ通話機能の重要性はさらに高まります。初回相談以降のやり取りが外部メッセンジャーや個人の電話に移行してしまえば、繰り返し行われる追加相談や取引に関わる潜在的な収益がユーザーと専門家の直接取引に移ってしまい、サービス側としては収益機会を失う可能性があるからです。インアプリ通話機能を通じてすべてのコミュニケーションをサービス内部で行わせることは、このようなユーザー離脱を根本的に防ぐ方法であり、完結した購買体験を提供して顧客満足度を高める効果的な方法です。
Build or Buy?
インアプリ通話がサービスにもたらすポジティブな効果は、このように明確です。では、次に選択の岐路に立たされるのは、「自社で直接開発するのか」、それとも「検証済みのソリューションを導入するのか」についてです。
ここでお伝えしたいのは、通話機能には既存のウェブ/アプリサービスとは全く異なる技術スタックが必要だということです。世界中のユーザーに向けて通話機能を提供しながら、安定した通話品質を確保し、刻々と変化するネットワーク環境に対応し、完璧なセキュリティ水準を備え、さらにそれらを継続的にメンテナンスしていくには、膨大なリソースと関連分野における最高水準の専門家が必要です。
LINE Planetは、2011年からLINEメッセンジャーの通話機能を開発、運用してきた専門エンジニアたちの技術とノウハウが集約されたソリューションです。LINE Planetなら、複雑な開発プロセスや予測不能な品質問題に悩むことなく、すでに検証された最高の通話機能をすぐに皆様のサービスに適用できます。
音声およびビデオ通話機能と共に、サービスの新たな可能性を切り拓きたい方は、以下のメールアドレスまでご連絡ください。